ドラマ「恋です! ヤンキー君と白杖ガール」 第1話、第2話 感想

日本テレビ系で放送中のドラマ「恋です! ヤンキー君と白杖ガール」の1話と2話についての感想記事です☆

恋です! ヤンキー君と白杖ガール」 公式サイト
https://www.ntv.co.jp/yangaru/

私は白杖を使う20代後半の女性。
10年前は白杖ガールだったのですが、今は白杖レディと言った方がしっくりくるお年頃かな?🤣
この記事は、一視聴者、一視覚障害者の視点からの感想になります!

視覚障害を持つ一視聴者のドラマの感想を読んでみたい、と言う方に読んでいただけたら嬉しいです。

ちなみに、私は沖縄に住んでいて日テレの番組を地上波で見られないので、配信アプリで視聴してます。
ティーバー(TVer) は最新話しか見られないので、過去話が見られるフールー(Hulu) の 3ヶ月チケットを購入して過去話も見返しながら感想を書いています。
ティーバーもフールーも解説なしと解説ありが両方見られるようになっていて、私は毎週両方見ています!

Hulu (月額サービス)
第1話 フツウの世界
https://www.hulu.jp/watch/100092955
第2話 今日会いたい
https://www.hulu.jp/watch/100093984

1話の感想

1話の感想は前にも書いたのですが、改めて✨
このドラマは、漫画的な部分とリアルな部分、それから笑える部分と泣ける部分のバランスが絶妙だなと感じます。
こういうエンタメ作品を待ってました!って感じです。

1話のPR動画(公式サイトから)

漫画的な場面

・ヤンキー君こと黒川に白杖を取り上げられそうになったユキコがとっさに蹴りを入れ阻止するシーン
ギャグシーンとしては面白いけど、現実で男性相手にとっさにあんなやり返し方したら危ない!(笑)

・ユキコが初対面の黒川に至近距離で顔を近付けて触りながら顔の傷を確かめるシーン
さすがに初対面の人の顔には近づかないし触らないかな。
でも、私もあれくらい近付かないと人の顔を認識できないです。
それに「弱視の人がぼんやりと相手を見ていたら、見つめていると勘違いされた」という話は聞いたことがあります。

・黒川がユキコの後をつけてニヤニヤする場面
黒川だから可愛く見えるけど、あれは現実でやっちゃダメですよ〜💦
視覚障害の女性もあとをつけられたり待ち伏せされたりしたら普通に怖がります。
ユキコも「待ち伏せとかキモいからやめて」って言ってましたよね。

リアルな場面

・盲学校の様子
玄関では、入り口を知らせるチャイムが鳴っていて、学校特有のガヤガヤした声はあまり聞こえません。
私が通っていた盲学校もあんな感じでした。
このドラマでは、ロケ地として横浜盲学校が使われていて、ドラマの監修には盲学校の先生方が協力しているので学校の様子もリアルに表現されています。
作中に登場する道具も本物です!!

・ユキコが目に物を近づけて見るところ
ユキコがコンビニでパンを選ぶ場面や、スマホを目に近づけて見る場面がリアルでした。
私も、前はよく目を近づけて商品の名前や値札を見ていました。
最近はコロナの影響もあり手に取って顔に近付けるのは気が引けるので、陳列された商品の名前や値札の文字をスマホのカメラで拡大して見ることが増えました。
また、その方がよく見えます。

・お笑い芸人の濱田さんの解説
ドラマの途中で、実在するお笑い芸人の濱田祐太郎さんが 登場し、視覚障害関連の豆知識や日常の困りごとについてささっと解説してくれます!
濱田さんの体験談と「どっちか迷ったら笑っといてください」というフレーズがクセになります🤣
最終回に向けて、ドラマ本編に本人役で出るとかそういうサプライズとかないかな?
黒川とユキコがデートしてて、「あっ、あれ濱田祐太郎じゃね!?」みたいな。
ないかなー。

・黒川から「ユキコさんは普通の世界で生きているじゃないですか」と言われて戸惑うシーン
これは、多くの障害者がはっとさせられたシーンではないでしょうか。
ユキコは、社会全体で見れば少数派な、弱視という特徴を持っています。
独特な道具を使うし、学校も一風変わった盲学校というところに通っています。
でも、子供の時から孤独で、顔に目立つ傷があって、仕事もなかなか続かないヤンキーの黒川からすれば、
家族とも仲良くやっていて学校にも真面目に通っているユキコが普通の世界で生きているように見えたんですね。
普通の基準って人それぞれ違うんだな、と気付かせてくれる場面でした。

本当は私たち障害者も普通の世界で生きてるただの人間にすぎないけど、どうしても世の中全体で見て少数であったり大多数の人と同じ行動ができないと「普通じゃない」と思ってしまう。
というか、そういうものだと刷り込まれています。
私は生まれつきの障害者なので、小さい時から「自分は盲学校の外に出れば世の中の人とは違う」と刷り込まれていて、今もその思い込みや固定概念は自分の中に残っています。

・ユキコが黒川がすぐそばにいるのに気付かなくて「こんな人を探してます」と語り出す場面
ドラマを盛り上げるために入っていた場面なのですが、実際、知ってる人がすぐ近くにいることに気付かないということはよくあります。
よく知ってる人なのに敬語で話しかけちゃったり(笑)
「20歳くらいの男の人で、背が高くて、ヤンキーで、顔に傷があって。あ、でも怖くないんです。ただちょっと、不器用なだけで」
みたいなことを一生懸命語るユキコを見て、泣き出す黒川。
最近オタクの間で流行ってる「尊い」って、こう言うのを言うのかな。

2話の感想

2話の見所は、黒川とユキコの映画館デートのところと、すれ違いで会えなくなってしまった黒川を探してユキコがバスに乗って会いに行くところ。
そして、ユキコが白杖を持つようになったきっかけが明らかになります。(ドラマオリジナル)
白杖のことを誤解してる人や、白杖を使い始める時の葛藤についての話も出てきます。

2話のPR動画(公式サイトから)

漫画的な場面

・ユキコが道に迷って、たまたま通りかかった獅子王の車に乗る
獅子王はいい人だったから良かったけど、実際はよく知らない人の車に乗る人はあまりいないと思います。
外の景色もよく見えないし、どこに連れて行かれるか分からないので。

リアルな場面

・「映画、見えるんですか?」という質問
映画館に行った帰り、ちょっとしたハプニングから、ユキコとハチ子が2人きりになってしまった場面での台詞。
まあ、この時のハチ子は黒川に片想いしていて、ユキコのことをよく思ってないから悪意ありありで言ってたけど、「テレビどうやって見るの?」「映画は見えるの?」と悪気なく聞いてくる人は結構います。

こういうこと聞かれたら普通に答えるけど、その時の気分次第では内心「あなたはいつも音を消してテレビや映画を見てるのか?見えない人がテレビ見たら悪いか?」
と言い返したくなることもあります。テヘッ!

目が見えないと生活が不便になるだけでなく娯楽をまったく楽しめない…という認識が根強いなら、「目が悪くて可哀想」と思われてしまうのも頷けます。

ドラマの中でユキコは、「この映画は音声解説があるから楽しめた」と答えるけど、解説なしでも大体意味わかるし、楽しいです。

みなさん、テレビも映画も映像だけを見てるわけじゃないですよね?
私は小さい時から目が見えにくいので、映像がちゃんと見えなくてもセリフや効果音で状況を把握できます。
そのためには、登場人物の名前と人間関係と声を覚えることが必要になります。
アニメだと、全体的に色がはっきりしてるから実写ドラマよりは容姿も認識しやすいですね、

とはいえ。
エンタメ作品は解説なしでも楽しいと力説しといてなんですが、解説があると何倍も楽しめますね♪
それに気付けたのも、この「恋です!」で音声解説版を見たおかげです。

悲しかった場面

・中学生の時のユキコが、白杖を持ちたくないと言って泣く回想シーン
目が見えにくくなって、白杖を持つかどうかで悩む人は本当に多いです。
中途失明の人や、弱視で徐々に視力が落ちていった人にとっては、視覚障害を持った自分、大多数の人と違う自分を認めること自体が、精神的な負担になるのです。
ユキコの場合は初恋の男の子を怪我させてしまったことで白杖を持つ決心をしました。
ドラマオリジナルの設定ですが、きっかけが悲しすぎる・・・。
でも実際に他の人を危険な目に合わせてしまったからという理由で持ち始めた人もいるようです。
それくらい、この社会で白杖を持つまでのハードルは高いということ。
でも本当は、安全に歩くための道具を使うだけのことをそんなふうに思わなきゃいけない、思わされてしまう社会がおかしいんじゃないか?と思います。

そして、弱視の人全員が白杖を持つ時に葛藤するわけではありません。
私は弱視だけど、子供の頃から盲学校に通っていて全盲の子と一緒に歩行訓練を受けていたし、外に出ると室内にいる時よりも見えにくくなって歩くのが大変だから持つのが当然だと思ってました。

ただ、少し大きくなって1人で外を歩くようになってから、「白杖を持ってると安全に歩ける反面、変な人についてこられやすくなるリスクもあるから気をつけたほうがいいね」と女性の先生と母から心配されたことはありました。
たぶん、私が小柄な女の子だったからだと思います。
今のところは性被害とかストーカーとか、ものすごく怖い思いをしたことはないです。
でも今までは運が良かったのだと思って、これからも堂々としてハキハキ話して、なるべく人通りの多い道を歩くようにしたいと思います。

・「いいなぁ。わたしも白杖持ちたいな」というハチ子のセリフ
これは、いくらなんでもひどすぎますね。
ユキコが「持てばいいじゃん、白杖」って言いたくなるのもわかる。
でも、(ハチ子視点では)いくら片想いの相手を取られたからって、障害を持ってる人に対して「優しくされて羨ましい」みたいなことを面と向かって言えちゃう時点で、おかしいし心に闇があるんだろうなと思いました。
口に出して言わなくても、似たようなこと思ってる人はたくさんいるかもしれないけど。
黒川が長いこと気にかけてる仲間なわけだし、単なる悪役で終わらせないでほしいという気持ちもありました。
そして、実は私もハチ子と同じように「同情されたい、かまわれたい」と思ってた時期があったので、言いたいこともなんとなくわかりました。
彼女の過去と本当の気持ちは、5話で明かされます。

キュンキュンした場面

・映画館でポップコーンを食べる場面
「ポップコーンみたいに細かい食べ物はポロポロ落とすから食べにくい」というユキコ。
映画を見ながら、ユキコの手を取って手のひらにポップコーンを乗せる黒川。
いや…もう、なんていうか、なんていうか。
ドキドキする!!可愛すぎる!!

そうか、ラブコメのカップル(この時はまだ付き合ってないけど)の片方が視覚障害者の場合、見えにくいという特徴をこんな風に活かせるのか。
いいな…。私、映画館でも置き場所を覚えてポップコーンをポリポリ食べてしまうから(笑)
でも、見えにくくて食べにくいことが理由で外出先で選べないメニューはあります。
例えば、私は豪華な盛り付けのパフェとか、焼き魚定食とかは選ばないですね、
お箸、スプーン、フォーク、ナイフの使い方は盲学校や家で練習したけど、それでも大きなパフェや魚は綺麗に食べる練習をしないと難しいです。
また、飲食店以外でご飯を食べなきゃいけない時はお皿や弁当箱を置くスペースがない場合もあるから、パンやサンドイッチみたいに手掴みで食べられるものを選びます。

・自販機とコーヒーの話
「あっ、そっちじゃないっす」
「も〜、運試しなんだから言わないで!」
という黒川とユキコのやりとりが微笑ましい。
自販機を使った運試しは私はやったことないけど、Twitterでは「やったことある!」っていう人を何人か見かけました🤣
素敵なギャンブラー精神!!
私はケチなので「お金払って飲みたくないものが出てきたら嫌だなー」という気持ちが強くて、見える人が一緒だとあっさり教えてもらっちゃいます(笑)
でも、盲学校の友達とカラオケに行って、「これは茶色だからウーロン茶か紅茶だはず。違ってたらごめん!」みたいなノリで、ドリンクバーが闇鍋状態になったことならあります🤣
普段は店員さんにお願いするのですが、その時はたまたま自分達で飲み物を入れていました。

・ユキコがバスに乗って黒川に会いに行く場面
とにかく会いたい一心で行ったことがない街までバスに乗って出かけるって、完全に黒川に惚れてるじゃん!!
私もときどきバスに乗る機会があるから分かるのですが、バスの路線って本当分かりにくいです。
下調べしてからでないと新しい場所へはなかなか行けないです。
2話の時点でユキコは黒川のことが気になって仕方ないし、影響を受けまくっているんですね!
熱いエモい胸キュン、どんな言葉で表せばいいんだろう?
とにかく、恋です!?

まとめ

障害者が主役のドラマ(実話の再現ドラマを含む)って、健常者からは評判いいけど障害者からの評判はイマイチなものが多かったのですが、「恋です!ヤンキー君と白杖ガール」はどちらからの評判もいいように感じます。
個人レベルでの好き嫌いはもちろんあると思いますが、少なくとも私は面白いと思うし、周りの人に勧めたら楽しく見てくれて、最初だけじゃなくて続けて見ていて話題にも出ます!

Twitterでは「ドラマが始まってから、街中を歩いている人達が前より親切になった感じがする」とか、「小学生の子から、目の見え方はユキコさんと同じですか?と質問された」などの感想も見られます。
社会に、いい変化を与えてますよね。

見える見えないの垣根を越えて楽しめるドラマに仕上がったのは、うおやまさん作の原作漫画がしっかりしていること、ドラマの制作に盲学校の関係者と視覚障害を持つ芸人の濱田さんが関わってること、漫画の世界から出てきたような美男美女が自然な演技をしているということが大きいのだと思います。
こんな感じで、気軽に見られるテイストだけどすごく大事なことを伝えてくれるようなドラマやアニメが、これからたくさん出てきてほしいです!

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